はじめに

こんにちは、やななです。
今日は、入院中の息子とすごした8歳の誕生日の様子をお届けします。
8歳になった息子は、いま児童精神科の病棟に入院しています。
ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)に伴う二次障害で、暴言や癇癪、暴力がコントロールできなくなってしまったことが入院のきっかけでした。
そんな息子が、看護師さんたちと一緒に取り組んできた「頑張りシート」。
毎日コツコツとシールを貼りため、ついに20枚全部集めました。
そのご褒美として、病棟のロビーで1時間だけのお誕生日会を開くことができたのです。
短い時間でしたが、そこには息子の“おおきな成長”が詰まっていました。
入院中にむかえた誕生日、いっしょに過ごしたかった理由

8歳の誕生日。
本当なら、おうちでケーキを囲んで、家族みんなでお祝いしたかった。
でも、今は児童精神科の入院中。
まだ1ヶ月しか経っていない今、病棟外でのお祝いをすることは「挑戦」でした。
主治医からも「病棟にすぐ戻れなければ、外出も外泊もしばらく遠のくだろう」と言われました。
それでも私は、「息子の8歳の誕生日を“ただの1日”として終わらせたくない」と思いました。
“今できる形で、息子に合ったお祝いをしてあげたい”
主治医、支援者の皆さん、そして親であるわたしも、そう願っていました。
看護師さんが作ってくれた「頑張りシート」、外出へのはじめの一歩

できたこと1つ1つに、シール1枚。
入院生活を息子が前向きに過ごせるよう、看護師さんが用意してくれた「頑張りシート」。
息子にすこしだけ「頑張ってほしいこと」を、看護師さんたちと相談して決めました。
そして「20枚ぜんぶ貼れたら、外出して誕生日のお祝いをしよう」を達成目標にしました。
主治医や看護師さんと「頑張りシート」を息子に説明しながら渡すと……
「これなら頑張れる」と、息子はやる気にみちた顔で笑ってくれました。
以前なら「こんなのやらない!」と破り捨てていたかもしれません。
息子が前を向いて頑張ろうとしている気持ちが伝わってきて、思わず涙がにじみました。
誕生日前の面談、思わぬアクシデントに直面!かいま見えた息子の成長

毎日の生活の中で、少しずつ貼りためていったシール。
面会に行くたびに増えていくシールを、親子で嬉しく眺めていました。
さて、誕生日前のさいごの面会時。
シールは19枚たまっていました。
主治医と看護師さん、心理士さんと、わたしたちで、面談がはじまりました。
そこでわたしたち親子が大きな勘違いをしていたことに気づいたのです。
誕生日の日は、自宅でお祝いできるのだと思っていたのですが……
主治医は、院内でのお祝いを許可するということだったのです。
院内のロビーなら、妹とお祝いをしても良いとのことでした。
「息子が怒る」と思って、その瞬間ヒヤヒヤしました。
ところが「わかった、お祝いできるなら大丈夫」と、息子は言ってみせたのです。
今までだったら切り替えられなかったであろう場面で、すぐに立ち直った息子の姿。
ちいさな背中が、頼もしく見えました。
大きな成長を感じた、とても嬉しい瞬間でした。
病院のロビーで1時間だけの誕生日会――大切な家族の時間

たくさんの飾りつけや豪華なごちそうはなかったけれど、
息子と娘と3人で話せる時間が「今は何よりの贈り物」でした。
「今日は何枚もシールもらえたよ」
「怒らなかったんだよ」
そんな小さな報告を、どこか誇らしげに話してくれる息子。
今までの誕生日とは違うけれど、確かにそこには笑顔があって、自信があって、成長がありました。
誕生日プレゼントは、どれも病棟に置いておいて良いものにしました。
でも息子は「全部持って帰ってほしい」と言いました。
「これを見たら、寂しくなってお家に帰りたくなっちゃうから」
息子の中で「帰りたい」気持ちと日々闘っているのだと感じて、涙が出そうでした。
「時間になったから、行くね」自分で終わらせた、彼の勇気

誕生日パーティーが始まって、1時間が経とうとしていたとき。
息子は、看護師さんに声を掛けられる前に、私の顔を見てこう言いました。
「ぼく、時間になったから、行くね」
切り替えが苦手で、離れるときは泣いたり怒ったりするのが当たり前だった息子。
そんな息子が、自分で時間を意識して、スッと立ち上がったのです。
驚きと同時に「成長したね、頑張っているんだね」という想いで胸がいっぱいになりました。
看護師さんと手をつないで、エレベーターに乗る息子の背中。
いつまでもいつまでも、娘と一緒に手を振って見送りました。
お祝いができるか不安だった、数週間前が嘘のような1日。
息子はぐっと大きく成長してみせてくれました。
「息子自身が頑張って、家族でお祝いする時間を手に入れた」という事実が、何よりの誕生日プレゼントでした。
入院直後から、ずっと寂しい思いをしてきたことでしょう。
何もかもが思い通りにいかない、慣れない生活の中。
それでも毎日、ひとつずつ頑張って、誕生日に向けてシールをためていた息子。
想像するだけで、涙が出てしまいます。
息子にも、支援してくださるすべての方にも「ありがとう」と伝えたい気持ちでいっぱいです。
入院中の子どもたち、そして親御さんへ
入院生活は、親子にとって「試練」とも思える大変な時間です。
でも、子どもの傍には「できること」「喜べること」を一緒に見つけてくれる支援者がいます。
そして子どもたちも、自分の力で確実に成長していきます。
今回の誕生日が、私たち親子の「頑張った記録」の1ページになったこと。
これもまた、入院中支えてくれる医療者の方々、そして息子のおかげだと、感謝しています。
自宅に戻れる日をめざして、一歩、また一歩と頑張っている息子の姿。
これからもしっかり目に焼き付けて、母も歩んでいこうと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
それではまた、次の記事でお会いしましょう!
\わたしも母業8年目!ささやかにお祝いしようと思います🍀/

コメント
読んでて涙があふれました。息子さん、がんばってますね。やななさんも…。やななさんと、息子さん、娘さんのがんばりが大いに報われますように。幸せを心から願っています。